鍼治療はどのように作用するか - アメリカ

「鍼治療はどのように作用するのでしょうか?なぜこれほど多くの人が鍼治療を信頼するのでしょうか?」という記事がアメリカのニュースサイトChicago Sun-Timesに掲載されています。(Chicago Sun-Times 2023.8.11)

鍼灸は身体の経穴(ツボ)に金属の針を刺したり、艾(もぐさ)を用いた灸を置いて燃焼させたり疾患や症状に適した刺激を加えることで人の自然治癒力を高め病気を治したり健康増進を図る治療法です。

紀元前の古代中国に始まったといわれています。

前漢時代(紀元前200年前後)には既にその理論は体系化されていて、生理学・一般病理学について書かれた『素問』と、鍼灸理論の『霊枢』をまとめた『黄帝内経』が編纂されているんですね。

その東洋医学・中医学の原点の『黄帝内経』は、そこから漢方や鍼灸、気功などの分野に分かれて現在も活用されている医学書です。

そこには人が健康で生活するために、病気の問題だけではなくその人の習慣や感情、食事、住んでいる土地や気候などを、総合的に診た治療法が書かれているんですね。

そしてこれらの書物は2011年にユネスコの世界記録遺産に登録されています。

 
鍼灸が日本に渡来したのは飛鳥時代(6世紀の初め)で、仏教伝来と同じころだそうです。

近代日本では明治政府が西洋の医療制度を模範とするまで、鍼灸は漢方薬と共に医学の主流でありその効果が認められて明治35年に合法化されているんですね。

 
今回のこの記事では鍼治療は広く研究されていて、線維筋痛症の痛みの軽減やアレルギー症状の緩和、肩や首の緊張の緩和などの利点があると述べられています。

その作用としては「重要なツボ」に針をすると血液・リンパ液に反応が引き起こされ、体内の化学物質の放出を促し、神経を刺激して筋骨格が弛緩する、ということです。

そしてエネルギーバランスが整うことから痛みやストレスが改善するということなんですね。

鍼治療は、痛みの緩和に対してよく使われますが、閉経期の女性の「ホットフラッシュ」と言われている「ほてり」にも使用するとのことです。

また、多くの症状については、以下のように述べています。一部を引用いたします。

“It can also be quite effective to relieve discomfort associated with lower back pain, joint pain, headache, and we commonly use it to address fatigue, addiction, neuropathy and tinnitus ? ringing in the ears,” she says.
Acupuncture also can help control inflammation and stimulate the immune system.”

要点は次の通りです。

・腰痛、関節痛、頭痛に関連する不快感を和らげるのにも非常に効果的である

・一般的に、倦怠感、依存症、神経障害、耳鳴りに対処するため使用している

・鍼治療は、炎症を制御し、免疫系を刺激するのに役立つ

 
鍼灸の効果については当サイトでもいくつか取り上げてきました。そちらもあわせてご参照ください。

 ⇒ 鍼灸の効果について医師が解説

 ⇒ 脳のスキャン画像で鍼灸の効果を確認 - イギリス

 ⇒ 末梢神経障害に対する鍼灸の効果 - ドイツ

客観的なデータが取りにくいといわれる鍼灸ですが、世界各国で研究が進み、少しずつ鍼灸の効果が解明されていくかもしれませんね。

 
今回の記事の詳細については、「Chicago Sun-Times」のニュースサイトをご参照ください。

◆Chicago Sun-Times – How does acupuncture work, and why do so many people swear by it?」
https://chicago.suntimes.com/well/2023/8/11/23810256/acupuncture-explainer-benefits-health-wellness

 
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