「化学療法誘発性末梢神経障害に対する鍼灸 それは効果的か?」という記事が、アメリカ「NeurologyAdvisor (神経学アドバイザー)」の公式サイトに掲載されています。(NeurologyAdvisor 2022.7.20)
医学雑誌「Phytomedicine」に発表された研究結果によると、抗がん剤による末梢神経障害に対して、鍼灸治療が神経の構造的再生を促進した、とのことです。
抗がん剤による末梢神経障害は、「化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)」と呼ばれています。
この末梢神経障害に対して、鍼灸が症状を改善するかどうかの研究が、ドイツのハンブルクエッペンドルフ大学医療センターにて、2012年から2015年の間に実施されたそうです。
CIPN患者60人に対し、週一回の鍼灸治療を10回実施したところ、痛みやしびれ、感覚異常などの症状に改善がみられたとのことです。
これらの改善は、鍼灸治療による末梢神経の再生が示唆される、とのことです。原文の一部を下記に引用させていただきます。
“The ACUCIN trial showed that acupuncture significantly improves sensory NCS, as well as clinical findings and PROMs in CIPN after 10 treatments, suggesting structural neuroregeneration,” the researchers stated, which indicates that acupuncture may be a viable treatment option for patients with CIPN.
(要約) ACUCIN試験は、鍼灸が10回の治療後のCIPNにおける感覚NCS、ならびに臨床所見およびPROMを有意に改善することを示し、構造的神経再生を示唆している。これらの発見は、鍼灸がCIPNに苦しむ患者の治療選択肢となり得ることを示しています。
この研究の詳細についてはこちらをご参照ください。 ⇒ 鍼灸は、神経生理学的および臨床的転帰によって調査された化学療法誘発性ニューロパシーを改善します?無作為化、対照、クロスオーバーACUCIN試験
海外で取り上げられた鍼灸の効果に対する話題は、当サイトでもいくつかご紹介してきました。そちらもあわせてご参照ください。
⇒ 鍼灸は慢性的な緊張性頭痛を軽減する可能性あり - アメリカ CNN
⇒ コロナ後遺症の味覚嗅覚症状に鍼灸治療の可能性 - アメリカ
鍼灸治療をおこなうことにより、身体内部の反応が起こり、自律神経や免疫系の働きによってさまざまな効果が表れる、ということなのだと思います。
今後も各種研究により、鍼灸の効果が一つ一つ、少しずつ解明されていくかもしれませんね。
今回の記事の詳細については、「NeurologyAdvisor」のサイトをご参照ください。
◆NeurologyAdvisor – Acupuncture for Chemotherapy-Induced Peripheral Neuropathy: Is It Effective?
https://www.neurologyadvisor.com/topics/neuropathy/acupuncture-for-chemotherapy-induced-peripheral-neuropathy-is-it-effective/