不眠症のために鍼灸を試みる理由 - アメリカ

「不眠症のために鍼灸を試みる理由 (Reasons to Try Acupuncture for Insomnia)」という記事が、アメリカの「ベリーウェル (verywell)」公式サイトに掲載されています。(verywell 2022.5.9)

「ベリーウェル」は、健康の専門家による健康とウェルネス(よりよく生きようとする生活態度)の情報を提供するウェブサイトです。

このサイトは、医師、トレーナー、栄養士、専門家、その他の専門家を含む120人の健康専門家によって維持されていて、その内容は理事会認定の医師によってレビューおよび承認されているとのことです。

 
最近の研究によると不眠症に対する鍼灸は、薬の効果的な代替物になりうるかもしれない、ということが分かったそうです。

不眠症は、文字通り「眠れない」「睡眠になんらかの障害が発生しうる」状態です。

また、夜中に目が覚めたり、その後で再び眠ることが困難になる症状も含まれます。

 
「眠れない」という症状は、多かれ少なかれ、多くの人に見られるようですね。

一回きりの、一時的な不眠症もあれば、度々繰り返すもの、そして、3ヶ月以上続くような慢性的な不眠症もあります。

睡眠に何らかの障害があれば、当然のことながら日常生活に影響が出てしまいます。

なかなか疲労が取れない、ということもあるでしょうし、他の病気に発展するケースもあり得るんですね。

 
そして、不眠症では多くの場合、睡眠導入剤などの薬剤を使用することが多いでしょう。

薬で改善できればいいですが、慢性的になったり、薬の副作用なども気になるところです。

今回の記事では、そういった薬の代わりに、鍼灸治療が有効になったり、また鍼灸治療そのものが睡眠を助けるかもしれない、ということが書かれています。

体の内部時計である睡眠覚醒サイクルに関与する特定の神経伝達物質が、鍼灸によってプラスの影響を受けることが指摘されたようです。

そのことが書かれている部分を下記に引用させていただきます。

One particular review noted that specific neurotransmitters involved in the sleep-wake cycle, which is the body’s internal clock, are positively affected by acupuncture.4 These neurotransmitters include:

・Norepinephrine, which helps you wake up and stay alert

・Melatonin, a hormone which helps the body wind down and prepare for sleep

・Gamma-aminobutyric acid (GABA), which helps to fall asleep and stay asleep throughout the night

(日本語要約)
ある特定のレビューが、体の内部時計である睡眠覚醒サイクルに関与する特定の神経伝達物質が鍼灸によってプラスの影響を受けることを指摘しました。これらの神経伝達物質には次のものが含まれます。

・ノルエピネフリン、これはあなたが目を覚まし、警戒を怠らないのに役立ちます

・メラトニン、体がリラックスして睡眠の準備をするのを助けるホルモン

・ガンマアミノ酪酸(GABA)、これは眠りに落ちて一晩中眠り続けるのに役立ちます

 

他にも、慢性の痛みがある場合に睡眠への悪影響が考えられ、鍼灸の鎮痛効果によって、結果的に睡眠を助ける、ということも書かれています。

不眠症と鍼灸について当サイトでもこれまでに取り上げてきました。こちらの記事もあわせてご参照ください。

 ⇒ 不眠症に有効な認知行動療法と鍼の併用 - アメリカ

 ⇒ 不眠症を治すには? 鍼灸の効果がABCニュースで紹介

 ⇒ 鍼灸の効果と自律神経

 
ストレスの多い現代社会においては、睡眠の質は重要な課題ですね。

鍼灸が睡眠の質の向上や、不眠症に効果的であるという可能性がわかり、今後ますます注目されていくかもしれませんね。

 
今回の記事の詳細については、「ベリーウェル」のサイトをご参照ください。

◆verywell – Reasons to Try Acupuncture for Insomnia
https://www.verywellhealth.com/acupuncture-for-insomnia-5221486

 
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