「片頭痛に鍼はなぜ効く? fMRIで作用機序を検討」という記事が、日経メディカルの公式サイトに掲載されています。(日経メディカル 2022.5.25)
この記事によると、片頭痛への鍼灸治療を続けてきた筑波技術大学保健科学部の石山すみれ先生らが、5月21日に開催された第36回日本ニューロモデュレーション学会で研究結果を発表されたとのことです。
石山先生はこれまでに頭痛や片頭痛に関する研究論文を数多く発表されています。
鍼灸が頭痛や片頭痛の症状を軽減させることは認識されていましたか、今回の発表ではその作用機序について検討するものだったようです。
MRIの技術を応用した、脳活動の状態を測定できる仕組みを使用したとのことです。
そのことが書かれている部分を下記に引用させていただきます。
これまで石山氏らは、一次性頭痛に対して、鍼を用いた後頭部C2末梢神経野鍼通電療法により、疼痛の軽減(患者数54人、疼痛強度は平均7.4から4.9に減少、P<0.001)を認めることを発表していた。ただし、その作用機序は不明だったため、今回、安静時における脳活動を測定できるResting state fMRI(rsfMRI)を用いて、Functional Connectivity(FC、機能的接続)を検討した。FCとは、脳部位間の時間的な相関関係を示すもので、解剖学的な接続性とは異なる領域間でも見られる。
片頭痛と鍼灸治療についての話題は、当サイトでもこれまでにいくつかご紹介してきました。そちらもあわせてご参照ください。
アメリカを始めカナダやイギリスなどで、片頭痛への鍼灸の効果が研究されているようです。
片頭痛に対する鍼灸治療の効果については、石山先生が2021年に発表された「片頭痛に対する鍼治療の作用機序を機能的 MRIで解析する」という論文では、次のように書かれていました。
MRI画像解析技術の進歩により,鍼治療は必ずしも神経活動や血流の増加 / 低下といった一貫した作用機序があるのではなく,片頭痛の病態にある unbalance の正常化に寄与する可能性があると考える.
鍼灸治療の効果としてよく「血流改善」という表現がされますが、片頭痛に対してはそれ以外に「アンバランスを元に戻す」という効果が期待できるということですね。
鍼灸というと、肩こりや腰痛といった筋肉の状態の回復に対する効果はよく知られていますが、頭痛や片頭痛の改善にも効果的ということだと思います。
その際、体内で「バランスが崩れた」状態を元に戻すのに、鍼灸がうまくサポートしてくれる可能性があるんですね。
今回の記事の詳細については、「日経メディカル」のサイトをご参照ください。(記事全文の閲覧には登録が必要となるようです)
◆日経メディカル – 片頭痛に鍼はなぜ効く? fMRIで作用機序を検討
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t233/202205/575156.html