「生理学:電気鍼治療の神経解剖学的機構」という記事が、総合学術雑誌の「Natue Japan」の公式サイトに掲載されています。(Natue Japan 2021.10.28)
ネイチャー(Nature)は、イギリスで発行されている国際的な週刊科学雑誌で、科学技術を中心としたさまざまな学問分野からの査読済みの研究雑誌を掲載しています。
その日本版として「ネイチャー・ジャパン」がありますが、これは日本国内やアジア全般の情報を扱っています。
今回のこの記事では、本国のNatueで10月上旬に掲載された「電気鍼療法はニューロンを活性化して炎症を止めます」という記事が紹介されています。
その内容は、実験的に全身炎症の状態(敗血症)になったマウスに対して、電気鍼療法をおこなうことで炎症が抑えられる、というものです。
つまり、電気を使った鍼治療によって抗炎症のはたらきが確認されたということなんですね。
実際には鍼の刺激が迷走神経や副腎に影響し、炎症が軽減されるという仕組みとのことです。
そのことが記載されている一部を下記に引用させていただきます。
鍼治療は炎症の治療に広く用いられている。しかし、その効果の神経解剖学的基盤は、まだ明らかにされていない。今回Q Maたちは、マウスの後肢深部組織の感覚ニューロンの1つのクラスが、迷走神経-副腎軸を活性化して、炎症を軽減することを見いだした。この研究は、鍼治療がどのように機能するかを理解する上で重要な一歩となる。
日本語版の要約が公開されていますが、こちらは購読が必要なようです。
海外の原版を参照すると、次のようなことが書かれています。
ツボを電気的に刺激することで神経回路のネットワークを活性化し、それにより特定の臓腑の機能を調節する、ということです。
つまり、電気鍼の刺激が神経や臓腑に影響して、炎症を和らげる仕組みが働くということなんですね。
当サイトでは、電気鍼や炎症を抑える鍼灸の効果についてはこれまでにもいくつかご紹介してきました。
そちらもあわせてご参照ください。
⇒ やっかいな片頭痛や喘息に鍼灸治療の効果は? - イギリス
痛みを軽減させることができる鍼灸治療ですが、その仕組みの裏には「炎症を抑える」という効果があるということなんですね。
さまざまな実験や研究により、今後ますます鍼灸の効果が解明されていくかもしれませんね。
今回の記事の詳細については、「ネイチャー・ジャパン(Nature Japan)」のサイトをご参照ください。
◆Natue Japan – 生理学:電気鍼治療の神経解剖学的機構
https://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/109915