「人工膝関節置換術中の鍼治療が術後の疼痛を緩和、米ワイルコーネル医科大研究報告」という記事が、小学館ダイム公式サイト「@DIMEアットダイム」に掲載されています。(@DIME 2021.10.25)
人工の膝関節を外科手術によって取り付けた場合、手術後に強い痛みが生じるということで、鎮痛薬を希望する患者が多いようです。
特にアメリカでは、オピオイド系鎮痛薬といって、モルヒネなどの麻薬に類似した薬がよく使われ、それによる依存症も問題になっています。
痛みを抑えるためにオピオイド系鎮痛薬を多用して、依存症になってしまうケースがあるんですね。
当サイトでも以前よりそういった話題の記事をご紹介してきました。そちらもあわせてご参照ください。
オピオイド系鎮痛薬の代わりに鍼灸治療が使用され、それにより薬物の依存症の危険性も低下していくかもしれません。
今回の記事は、手術中に耳への鍼通電療法を行うことで痛みが軽減されるという研究報告が紹介されています。
研究は、アメリカのワイルコーネル医科大学麻酔学分野のStephanie Cheng氏らが実施したもので、結果は米国麻酔科学会議(ASA 2021、10月8~12日、サンディエゴ)で発表されたそうです。
鍼治療による効果として、次のように紹介されています。一部を引用させていただきます。
鍼治療による刺激は、幸福感をもたらす脳内の神経伝達物質であるエンドルフィン(脳内麻薬とも呼ばれる)の放出を促し、痛みを緩和すると考えられている。
Cheng氏らの研究では、TKAを受ける41人の患者に対し、術中に標準的な麻酔プロトコルに加え、鍼通電療法を実施した。
この鍼治療は、手術中に、耳の8カ所のツボに刺した細い針に弱い電流を流すというものだった。
その結果、鍼通電療法を受けた患者では、術後30日間にわたって低用量のオピオイド(15錠以下)服用で済んだ患者の割合が65%(26人)に上り、このうちの3人はオピオイドをいっさい服用することがなかった。
つまり、鍼治療によって体内麻薬が分泌され痛みが軽減するため、鎮痛薬を必要としないか少ない量で済む、ということなんですね。
オピオイド系鎮痛薬の乱用は健康を害する危険性があるため、それを防ぐための方法として鍼治療が期待されるかもしれません。
しかしながら実際問題として、手術中に鍼治療をすることを標準とするにはまだまだ課題があるようです。
鍼灸治療をすることで痛みが軽減することは体験することで実感できますが、鍼灸の科学的なエビデンスはなかなか揃いにくいといわれています。
それでもこういった研究が数多くされることで、将来的には今よりももっと、鍼灸についていろいろなことが証明されていくかもしれませんね。
今回の記事の詳細については、「アットダイム」のサイトをご参照ください。
◆アットダイム – 人工膝関節置換術中の鍼治療が術後の疼痛を緩和、米ワイルコーネル医科大研究報告
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