鍼灸治療を試したい 鍼灸師をどう選ぶ? - ワシントンポスト

「鍼灸治療を試したい 鍼灸師をどう選ぶ?」という記事が、アメリカの新聞「ワシントンポスト」のサイトに掲載されています。(The Washington Post 2021.10.4)

背部痛や頭痛。アレルギー、関節炎、不安、つわりなど、鍼灸治療は古くから行われてきました。

鍼灸で体の中のバランスを整えるということですが、欧米では鍼灸をどのようにとらえているのでしょうか。

今回のこのワシントンポストの記事では鍼灸関連の研究や過去の経緯などが紹介されています。

鍼灸の研究について

医学界では、さまざまな病気の治療法として鍼灸治療を認識していますが、その有効性という観点ではまだまだ課題が多いです。

鍼灸治療によって痛みが軽減されるケースが多いですが、その仕組みについてはまだまだ詳しくは解明されていないんですね。

鍼をすることで体内鎮痛薬のようなものが放出されることは確認されていますが、実際に何が起こっているかについては不明な部分が多いようです。

しかし明らかに、鍼灸によって腰痛の痛みが軽減したり、顔面麻痺が改善したりということはあるようですが、これを証明する実験はなかなか難しいんですね。

鍼灸と医療政策

欧米各国においては、鍼灸治療を積極的に取り入れているケースがあるようです。

・フィラデルフィアの単科大学「American College of Physicians」で、腰痛の最初の治療法の1つとして鍼治療を使用することを推奨(2017年)

・医学雑誌「American Journal of Emergency Medicine」で、急性の痛みには鍼治療がモルヒネよりも優れた代替手段であることがわかったと発表(2016年)

 
また、米国国立衛生研究所でも、鍼灸の効果について1997年に次のように発表しています。

“One of the advantages of acupuncture is that the incidence of adverse effects is substantially lower than that of many drugs or other accepted medical procedures used for the same conditions. As an example, musculoskeletal conditions, such as fibromyalgia, myofascial pain, and tennis elbow, or epicondylitis, are conditions for which acupuncture may be beneficial. These painful conditions are often treated with, among other things, anti-inflammatory medications (aspirin, ibuprofen, etc.) or with steroid injections. Both medical interventions have a potential for deleterious side effects but are still widely used and are considered acceptable treatments. The evidence supporting these therapies is no better than that for acupuncture.”

訳:
鍼治療の利点の1つは、副作用の発生率が、同じ状態で使用される多くの薬や他の受け入れられている医療処置の発生率よりも大幅に低いことです。一例として、線維筋痛症、筋筋膜性疼痛、テニス肘などの筋骨格系の状態、または上顆炎は、鍼治療が有益である可能性がある状態です。これらの痛みを伴う状態は、とりわけ、抗炎症薬(アスピリン、イブプロフェンなど)またはステロイド注射で治療されることがよくあります。両方の医学的介入は有害な副作用の可能性がありますが、それでも広く使用されており、許容できる治療法と見なされています。これらの治療法を裏付ける証拠は、鍼治療の証拠に勝るものはありません。

鍼灸師をどう選ぶか?

このワシントンポストの記事では、「ABMAによる認定鍼灸師を探してください」と書かれています。

ABMAというのは、アメリカ鍼認定医師学会 (American board of medical acupuncture : ABMA)のことです。

次のような認定とのことです。

・ABMA承認の教育プログラムで少なくとも300時間の鍼治療教育を終えた
・試験に合格した
・500回以上の鍼治療の病歴を持つ少なくとも2年間の鍼治療の臨床経験を完了した

これらは米国でのことですので、日本においてはまた異なってきます。

しかしながら、日本においても、きちんと教育・研修を受け、臨床経験が豊富な鍼灸師に診てもらいたいですね。

 
海外の鍼灸事情については、当サイトでもいくつかご紹介しております。そちらもあわせてご参照ください。

 ⇒ 痛みの対処には服薬より鍼灸 - アメリカ

 ⇒ 産婦人科病院で活用される鍼灸治療 - フランス

 ⇒ がんの治療に伴う関節痛に鍼灸 - イギリス

日本においても、症状の改善が思わしくなく、各種医療機関にかかった末に鍼灸治療を試すケースがあるかと思います。

現代医療とあわせて、東洋医学や鍼灸がますます国民の健康をサポートする時代が来るかもしれませんね。

 
今回の記事の詳細については、「ワシントンポスト」のサイトをご参照ください。

◆ワシントンポスト – So you want to give acupuncture a try. How do you pick a provider?
https://www.washingtonpost.com/lifestyle/wellness/picking-an-acupuncturist/2021/10/03/019d5394-220a-11ec-9309-b743b79abc59_story.html

 
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