鍼灸治療と植物療法の今後の増加予想 － アメリカ

「植物療法と鍼治療の研究レポート2024:世界市場は2023年の806.8億ドルから2034年までに6,000億ドルを超える見込み-個別化医療、新興市場、医薬品との競争」という記事が、アメリカのプレスリリースサービス「グローブニューズワイヤー」のWebサイトに掲載されています。(GlobeNewswire 2025.1.31)

グローブニューズワイヤーは、北アメリカやヨーロッパにおいて大規模な事業を展開していて、世界規模でプレスリリース配信サービスを提供している組織・サービスです。

この記事によると、漢方薬を始めとする植物療法と、鍼灸治療による市場が2023年に806億8000万米ドルに達したということです。

そして、2024年から2034年の予測期間中に、その7倍以上となる6011億1000万米ドルに達すると予想されているんですね。

　
各種の疾患や痛みなどのつらい症状に対して、現代医学では、作用の強い薬物によって治療がなされるケースが多いです。

しかしながら強い薬は一方で、体へのダメージも大きいということも知られています。

漢方薬が無害というわけではありませんが近年、強い西洋薬よりも自然で体に優しい治療法が人気を集めてきているのは事実のようです。

鍼灸治療も「体に優しい治療」として認知されてきていて、体がもともと持っている自然治癒力を高める、という点に注目が集まっているのではないかと思います。

そのことが書かれている部分を下記に引用させていただきます。

Natural and holistic methods of healthcare are becoming more and more popular as people search for safer substitutes for potentially harmful conventional drugs. An increasing amount of scientific research is supporting the use of acupuncture and botanicals as safe and efficient treatments for a range of ailments. For instance, Herbalife Nutrition and the American Red Cross formed a partnership in December 2023 to help disaster relief efforts worldwide.

要点は次の通りです。

・潜在的に有害な従来の薬のより安全な代替品を求める人々が増えるにつれ、自然でホリスティックなヘルスケア方法がますます人気を集めている

・さまざまな病気の安全で効果的な治療法として鍼治療や植物療法の使用を支持する科学的研究が増えている

・たとえば、ハーバライフニュートリションとアメリカ赤十字は、世界中の災害救援活動を支援するために2023年12月にパートナーシップを結んだ

　
強い薬による社会問題や、それに代わる治療法として鍼灸治療が採用されるケースがあるということは、当サイトでもこれまでにいくつかご紹介してきました。そちらもあわせてご参照ください。

　⇒ オピオイド中毒への対応－アメリカ

　⇒ 薬物中毒が広がるアメリカの現状と対策－アメリカ

　⇒ 救急処置室(ER)での鍼治療－アメリカ

痛みが強い場合に米国ではオピオイドがよく使用されます。

オピオイドは「麻薬性鎮痛薬」を指す用語ですが「麻薬＝オピオイド」というわけではなく、オピオイドとは「中枢神経や末梢神経に働いて痛みを軽減させる薬物」です。

痛みを軽減させるこのオピオイドは、体内で作られる「内因性オピオイド」というのもあるんですね。

そして、いわゆるオピオイド中毒というのは、オピオイドの使用中または使用直後に現れる問題行動や心理学的変化です。