「鍼治療は脳卒中後の不眠症の睡眠の質を改善する方法として有効であることが判明」という記事が、アメリカの医学雑誌「NeurologyLive」の公式サイトに掲載されています。（NeurologyLive 2022.9.28）
鍼治療が、虚血性脳卒中患者の不眠症や生活の質および情動症状の改善に効果的であることを示した、という記事です。
「虚血性脳卒中」とは、脂肪の沈着物が、脳に向かう動脈に詰まって、脳に十分な血液と酸素が供給されなくなることで生じる、脳組織の一部の壊死（脳梗塞）のことです。
日本でも、脳卒中は、よく聞かれる疾患ですね。
日本の脳卒中の患者数は2017年度には約112万人で、その中でも、16％にあたる約18万人が就労世代（20～64歳）にあたるそうです。
また、リハビリによって、運動機能は3～6か月で回復、言語機能は１年経過して、徐々に改善される傾向にあり、最終的な復職率は50～60％あると報告されています。（厚生労働省発表）
しかしながら、後遺症として睡眠障害や不眠症、うつ症状に悩まされることが多いそうです。
今回のランダム化比較試験(ChiCTR-IIC-16008382)では、不眠症の虚血性脳卒中患者144人が、鍼治療によって睡眠の改善が示されたということが、次のように書かれています。
Those randomly assigned to the verum acupuncture group (n = 72) had significantly greater improvements in sleep quality in comparison with the sham group (n = 72) 2 weeks into treatment throughout the follow-up. Participants in the acupuncture group, compared with baseline measurements, had significantly greater reductions in the primary outcome of Insomnia Severity Index score than those in the control group at 2 weeks, 4 weeks, and at follow-up (P < .001).
要約すると、本物の鍼を使用した治療群は、シャム鍼というニセ鍼を使用した鍼治療群と比較して、睡眠の質の改善が有意に大きかった。また、鍼治療群の参加者は、不眠症重症度指数スコアの低下も大きかった、ということです。
研究者の上海中医薬大学のYan Cao氏らによると「鍼治療は、脳卒中後の不眠症、特に薬や行動療法を受け入れない人々にとっての、適切な代替治療法の可能性がある」とのことです。
そして、「また患者の不安および抑うつをある程度改善することを示した。」とも述べています。
詳細は「NeurologyLive」の今回のこの記事をご参照ください。
不眠症と鍼灸については当サイトでもいくつかご紹介してきました。そちらもあわせてご参照ください。
健康と睡眠の質は深い関連があることはよく知られていますが、鍼灸治療が体のバランスを整え、より良い睡眠をもたらしてくれる可能性がある、ということですね。
今回の記事の詳細については、「NeurologyLive」のサイトをご参照ください。
◆NeurologyLive – Acupuncture Proves Effective as Method to Improve Sleep Quality for Post-Stroke Insomnia
https://www.neurologylive.com/view/acupuncture-proves-effective-method-improve-sleep-quality-post-stroke-insomnia
