世界五大医学誌の一つとされる『BMJ』で始まった鍼灸の是非についての議論は、カナダのラジオ局のサイトでも詳しく紹介されています。(CBC)
「医師は患者に鍼灸を勧めるべきか」で2つの正反対の意見が掲載され、白熱した議論になったため話題になりました。
カナダでも鍼灸の人気は高く、マッサージとヨガに次ぐ代替療法として急成長していることから、この議論には注目が集まったようです。
英国鍼灸協会のカミングス博士は、多くの先進国の医師が痛みの治療に鍼治療を推奨しているし、英国の頭痛管理ガイドラインにも記載されているので勧めるべきと主張。
それに反論しているのはエクセター大学のエルンスト名誉教授で、鍼灸が有効だという証拠は十分ではないので、医師は鍼灸を推奨すべきでないと主張しました。
議論が白熱するなかで、鍼灸治療を受けている患者のコメントが『BMJ』 に掲載されました。
2人目の子供を妊娠したときに重度の骨盤痛を発症したマニカサミさんは産科医から帝王切開するように言われたそうです。
ところが、彼女は地元で鍼灸治療を週に1回受けるようにしたところ、痛みは引いて、鎮痛薬を増やす必要もなく出産できたそうです。
薬も手術も用いずに出産できた彼女がどう考えたかを紹介している部分を以下に引用します。
She concluded that there seems to be a clear role for a safe and potentially effective treatment such as acupuncture.
要点は以下のようになります。
◆彼女は穏やかな痛みを経験し、彼女が鎮痛薬の使用を増やす必要がないことを喜んだと言った。
◆鍼灸のように安全で高い有効性のある治療には、明確な役割があると考えるに至った。
このエピソードを紹介したカミングス博士自身も、現状はまだ有効性を示す証拠が弱いために、偏った見方をされることが多いと認めています。
医療従事者をリードしていけるような科学的な裏付けが求められているというわけですね。
当サイトでは、鍼灸がトレンドになる一方で「インチキだ」と非難する人もいるというドイツの例を紹介しています。こちらもご参照ください。
鍼灸治療が人気になればなるほど、疑いの目で見る人も増えていくかもしれません。
科学的な裏づけが難しいとされる鍼灸ですが、欧米では普及が進んでいるようですね。
今回の記事の詳細は「CBC」のサイトをご参照ください。
◆CBC – 2018.03.13 Should doctors recommend acupuncture?
http://www.cbc.ca/radio/whitecoat/should-doctors-recommend-acupuncture-1.4572189