2017.12.11 nature(ネイチャー)
医療への鍼灸導入の議論が再燃しているという記事が、科学専門誌「ネイチャー」のサイトに掲載されています。
がん患者に実施した鍼灸の臨床試験で、治療薬のアロマターゼ阻害剤の副作用を緩和するには鍼灸が有効と発表したことに対してさまざまな議論が起きました。
たとえば、イェール大学医学部のスティーブン・ノヴェッラ博士のように鍼灸に懐疑的な人は、厳密な二重盲検試験は不可能であり、結果には科学的根拠がない、と主張します。
ただアメリカのがんセンターでは、患者の9割がすでに痛みの緩和で鍼灸治療を試みていて、7割以上は副作用対策に鍼灸を用いているそうです。
薬物中毒対策の一環で本格的に医療に鍼灸が導入されるのは2018年1月ですから、がんセンターへの鍼灸の導入はスピーディーだったんですね。
アメリカでは、鍼灸は州によって法律が異なるため、急速に医療に導入されたことで議論百出となったようです。
なかには、患者を診療する「権限」を鍼灸師に委譲するのか、といった意見もあるようです。
臨床試験を実施したコロンビア大学医学部のドーン・ハーシュマン博士は、そんな状況を見て、患者にとって何が最善であるかを見失うのではないかと懸念しています。
ハーシュマン博士の言葉を以下に引用します。
要点は以下のようになります。
◆私たちはできる限り鍼灸の厳密な調査をしようとした。それによって投薬を続けるか判断し、生活の質の向上を図れるなら、それは価値のあることだと思う。
ハーシュマン博士は、がん患者の立場に立って治療の選択肢が増えるように、医療としての鍼灸治療をしっかりと考え、その上で発言をしているんですね。
当サイトでは以前、術後の痛みにも鍼灸が有効という記事を紹介しました。こちらも是非ご参照ください。
人間の体がもともと持っている自然治癒の力を活用する鍼灸治療は、今後も医療の現場でますます重要な役割を担うことになるかもしれませんね。
今回の記事の詳細については「ネイチャー」のWebサイトをご参照ください。
◆nature – Acupuncture in cancer study reignites debate about controversial technique
https://www.nature.com/articles/d41586-017-08309-y