「小規模な研究によると、鍼治療はMSの疲労を軽減する効果がある可能性がある。」という記事がアメリカのニュースサイト「多発性硬化症ニューストゥデイ」に掲載されています。(Multiple Sclerosis 2024.9.27)
多発性硬化症は、脱髄(だつずい)疾患と呼ばれる自己免疫性神経疾患の一種です。
脱髄というのは脳や脊髄、視神経といった神経系の神経線維を包む「さや」(髄鞘)の部分に対する炎症のことを言います。
本来は病原体を攻撃する免疫系が自分自身の髄鞘に炎症を引き起こす疾患が多発性硬化症なんですね。
よくみられる症状としては感覚の障害、運動や歩行の障害、視力障害などの眼の障害、めまい、排尿や排便・性機能の障害などがあります。
また、理解力の低下や、非常に疲れやすいなどの症状が起きることもあるそうです。
今回の記事では、鍼治療によって、多発性硬化症の疲労レベルが大幅に軽減することが書かれています。
しかしながら、鍼治療がどのように疲労の改善に役立っているかについては不明とのことです。
そのことが書かれている一部を下記に引用いたします。
Further, while acupuncture apparently has benefits for MS fatigue, exactly how it exerts its effects is not known, the team noted. Research suggests it may be able to modulate various physiological processes implicated in MS, including the release of certain brain signaling chemicals and immune function.
“However, it is important to acknowledge that many of the precise mechanisms underlying these effects remain under investigation, and ongoing research is essential to fully understand how acupuncture exerts its therapeutic benefits,” the scientists wrote.
要点は次の通りです。
・鍼治療はMSの疲労に効果があるようだが、その効果をどう発揮するかは正確にはわかっていないと研究チームは指摘している
・研究によると、鍼治療は脳内の特定のシグナル伝達化学物質の放出や免疫機能など、MSに関係するさまざまな生理学的プロセスを調整できる可能性があるという
・「しかし、これらの効果の根底にある正確なメカニズムの多くはまだ調査中であり、鍼治療がどのように治療効果を発揮するかを完全に理解するには継続的な研究が不可欠であることを認識することが重要です」と科学者らは記している
自己免疫疾患と鍼灸については当サイトでもいくつかご紹介してきました。そちらもあわせてご参照ください。
⇒ 難病リウマチでの薬漬け脱却のために鍼灸 - 現代ビジネス
難病に対する鍼灸治療の効果はまだまだ解明されていない部分も多いようですが、今後ますます研究が進んでいくといいですね。
今回の記事の詳細については「多発性硬化症ニューストゥデイ」のサイトをご参照ください。
◆Multiple Sclerosis – Acupuncture may have benefits for reducing MS fatigue, per small study
https://multiplesclerosisnewstoday.com/news-posts/2024/09/27/acupuncture-shows-benefits-reducing-ms-fatigue-small-study/