獣医学生が古代の鍼術を学ぶ - アメリカ

「獣医学生が古代の鍼術を学ぶ」という記事がアメリカ バージニア州の公共ラジオ放送 wvtf の情報サイトに掲載されています。(wvtf 2024.1.2)

バージニアの大学では、獣医学部の学生に鍼治療を教えているそうです。

鍼治療は2,000年以上前から行われている中国伝統医学ですが、鍼治療を受けていたのは人間だけではなかったようです。

中国の歴史では周(紀元前1046年~256年)の時代に、獣類の疾病を司る「獣医」が設けられています。

日本では聖徳太子の時代に、高麗から僧を招いて馬の療法を学ばせて「太子流馬医術」が始まったといわれています。

明治時代に西洋の近代獣医学が導入されるまでは、家畜や武将の馬を診る鍼灸師や漢方薬を扱う医者が活躍していたんですね。

人間と共に暮らす動物も不調であれば鍼治療を受けていたということでしょう。

 
アメリカの鍼治療は、中国の針麻酔の成功が世界に発表された1970年代から広まっていきました。

鍼治療は腰痛、頸部痛、変形性関節症や膝痛、慢性化的な痛みの緩和に効果があることが多くの研究結果によって紹介されています。

アメリカでは依存性・中毒性のあるオピオイド系鎮痛剤の過剰摂取が社会問題になっており、代替療法と言われる鍼治療やマッサージ、ヨガなどが注目されているんですね。

 
この獣医学部の学生たちは「人間も動物医学でも、鍼治療の人気が高まっているのが分かる」と話しています。

人間同様に馬や犬も治療効果の反応があるということなんですね。

鍼治療を拒否する馬も一部はいるようですが、他の馬は喜んで行い数回の治療後には顕著な改善が現れるとのことです。

記事の中で、指導の講師は鍼治療の目的の多くは「痛み」に対して行うと述べています。

馬の背中の痛みは従来の鎮痛剤ではあまり反応がなく、治療が難しい場合があるそうです。

そして、以下のように述べています。一部を引用させていただきます。

“She’s also treated horses with nerve dysfunctions or other medical issues. Dogs also can benefit from acupuncture, especially as part of a rehabilitation program after suffering a back or neurological injury.”

要点は次の通りです。

・彼女は神経機能障害やその他の医学的問題を抱えた馬の治療も行ってきた

・犬も、特に背中や神経系の損傷を受けた後のリハビリテーションプログラムの一環として、鍼治療の恩恵を受けることができる

指導の講師は、鍼灸治療は西洋学の立場からは説明しにくいことを説明できるとも話しています。

 
動物に対する鍼治療については当サイトでもいくつかご紹介してきました。そちらもあわせてご参照ください。

 ⇒ 愛犬に鍼治療 獣医は小動物に代替鎮痛剤と癒しを提供 - アメリカ

 ⇒ 馬の鍼治療センターがフロリダにオープン - アメリカ

 ⇒ ペットに鍼灸治療をする獣医師さん - 調布経済新聞

 
現在日本では、動物の「鍼」は獣医師が行います。

そして近年は、東洋医学(中獣医学)の治療法を取り入れている動物病院が増えているようですね。

人間同様にペットたちも高齢化しているので、椎間板ヘルニアや腰痛、足腰も弱って飼い主さんと同じ症状が出るのも当然です。

人間の鍼治療では主に経穴「ツボ」を使いますが、犬猫・牛馬の「ツボ」も、同じ名称だったりします。

動物の眉のあたりや耳の後ろのツボを押してあげたり腰をお灸で温めてあげると、やっぱり気持ちよさそうにするんですね。

愛犬・愛猫にも、苦痛のないケアが出来そうです。

 
今回の記事の詳細については「wvtf」の情報サイトをご参照ください。

◆wvtf – Veterinary students learn ancient art of acupuncture
https://www.wvtf.org/news/2024-01-02/veterinary-students-learn-ancient-art-of-acupuncture

 
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