「UICの研究者が安定狭心症に対する鍼治療の研究でNIHの助成金を受け取る」という記事がアメリカの医療情報サイトNews Medicalに掲載されています。(VAニュース 2023.11.2)
アメリカでは安定狭心症の罹患者が何百万人もいるということですが、国立衛生研究所では胸痛緩和のための鍼治療の研究に助成金を出しているそうです。
安定狭心症(労作性狭心症)は、狭心症の症状である胸痛発作の頻度や持続時間や強度などが一定であったり、一定以上の運動や動作によって発作が現れるといった、出現の仕方が安定している狭心症のことを言います。
日本では心臓病はがんに次ぐ死亡原因の第2位といわれています。
狭心症や心筋梗塞などの「虚血性心疾患」は、全国で100万人を越えて毎年7万人が亡くなっているそうですね。
発作は「冠動脈の一部が動脈硬化によって75%以上狭窄すると出現する」と言われています。
症状の多くは労作時に起こり、締め付けられるような胸の痛みが特徴です。
胸の圧迫感や詰まり感など、胸やみぞおちに漠然とした痛みや違和感があるようです。
痛みは放散するため、首やあご、頬や歯が痛いと訴える場合もあるんですね。
この記事では、鍼治療による疼痛緩和について、以下のように述べています。一部を引用いたします。
“A large body of research has shown that acupuncture can help mitigate many types of chronic pain. But little is known about its effect on ischemic pain, which is caused when the heart isn’t getting enough oxygen, as is the case with stable angina.
要点は次のようになります。
・鍼治療が多くの種類の慢性疼痛の緩和に役立つことが示されている
・しかし安定狭心症のように心臓に十分な酸素が行き渡っていないときに引き起こされる虚血性疼痛への影響についてはほとんど知られていない
狭心症と鍼灸の話題については当サイトでも以前ご紹介しました。そちらもあわせてご参照ください。
⇒ 安定狭心症患者に対する鍼治療のRCT - 日経メディカル
安定狭心症は、心筋に供給される酸素が不足することで起こります。
鍼治療では各人の体質を診て治療を行いますが、心臓に向かう経絡やツボを刺激することでその働きを調整し、血流や水分代謝の改善を促すといわれています。
また、この記事には「研究では鍼治療が参加者の痛みを軽減し生活の質を向上させることを発見した。」とも書かれています。
鍼灸が、痛みに悩む人々の生活の質を少しでも改善できる可能性があるならば、試してみる価値はありそうですね。
今回の記事の詳細については「News Medical」のサイトをご参照ください。
◆News Medical – UIC researchers receive NIH grant to study acupuncture for stable anginahttps://www.news-medical.net/news/20231102/UIC-researchers-receive-NIH-grant-to-study-acupuncture-for-stable-angina.aspx