「鍼治療: 現代の医療従事者が使用する古代の方法」という記事がアメリカの退役軍人省のwebサイトに掲載されています。(VAニュース 2023.9.27)
ベトナム戦争中に、負傷した軍人の痛みの対処として医師や軍人による鍼治療が取り入れられたそうです。
医学は歴史上、戦争によって進歩してきた側面があるといわれています。
しかし、ヘルスケアのイノベーションは必ずしも新しい治療法や新しい技術であるとは限らないとこの記事では書かれています。
鍼灸治療は二千年以上前から行われてきた中国伝統医療で、現在は代替医療として世界中で行われていますね。
鍼灸治療では皮膚の表面にある「ツボ」と呼ばれる、体の信号を伝えるポイントに刺激を与えて、鎮痛、筋緊張緩和、血行改善、自律神経調整などの効果が期待されます。疾病の予防や治療にも使われます。
鍼治療に疼痛緩和の効果があると知られたのは、1970年代に中国の鍼麻酔手術が報道されたことがきっかけでした。
手術の間、患者は意識のある状態で医師と会話もできたというものです。
そこから世界各地で、鍼治療のメカニズム解明の研究が進められたんですね。
その結果、「鍼の刺激が脳へ伝わり脳内で内因性鎮痛物質(モルヒネ様物質)を産生し痛みをとめている」ということが明らかとなりました。
そして、鍼灸による鎮痛作用などが確認された、疼痛緩和の治療として広まっています。
この記事では、退役軍人局は薬を使わずに疼痛治療をする代替療法として、アヘン剤を鍼治療に置き換えが出来たということです。
現在、薬理学的管理と鍼治療の両方で疼痛コントロールをしているんですね。
また、バトルフィールド鍼治療という、各耳の5つのポイントに小さな金の針を刺す耳介鍼治療を行っていることが書かれています。
一部を引用いたします。
He determined that by applying acupuncture techniques to specific points on the ear, pain could rapidly be relieved for soldiers on the battlefield. This treatment option was quickly adopted by the military and later VA as a highly effective way to relieve pain both on and off the battlefield.
要点は次のようになります。
・耳の特定のポイントに鍼治療技術を適用することで、戦場の兵士の痛みを迅速に軽減できると判断した
・この治療オプションは、戦場の内外で痛みを軽減する非常に効果的な方法として、軍とその後の退役軍人によってすぐに採用された
耳鍼の話題については当サイトでもこれまで紹介してきました。そちらもあわせてご参照ください。
⇒ 耳ツボってどんなものですか? -「東洋療法雑学事典」更新
耳に鍼をすることで痛みが軽減するメカニズムはまだまだ完全に解明されていませんが、これからも疼痛管理の一つの方法として広まっていくかもしれませんね。
今回の記事の詳細については「VAニュース」のサイトをご参照ください。
◆VA news – Acupuncture: Ancient methods used by modern-day providers
https://news.va.gov/123998/acupuncture-ancient-used-modern-day-providers/