がん患者の不眠症緩和のための鍼灸 - アメリカ

「がん患者の不眠症緩和のための鍼灸」という記事が、アメリカ「oncologynurseadvisor (腫瘍学看護アドバイザー)」の公式サイトに掲載されています。(OncologyNurseAdvisor 2022.8.18)

アメリカの医学雑誌「オンコロジー ナース アドバイザー」は、がん治療に関する臨床の最新情報を取り扱う雑誌です。

化学療法薬や副作用の管理、緩和ケア、患者とのコミュニケーションなどのトピックを取り上げています。

 
今回の記事では、鍼灸治療が、体内の器官系をつなぐネットワークに関する問題を改善することができると紹介されています。

そして、鍼灸は「睡眠に関連するいくつかの脳領域を活性化および調節する」可能性があるとのことです。

 
コーエン博士によると、不眠症に対する鍼治療の効果に関するデータはまだ少ないものの、鍼治療はコルチゾールやノルエピネフリンなどのストレスホルモンの減少を介して、夜間の覚醒を減少させる可能性があるということです。

そのことが記載されている一部を下記に引用させていただきます。

While there is scant data regarding the effects of acupuncture on insomnia specifically, Dr Cohen told Oncology Nurse Advisor that acupuncture may lead to less nighttime arousal via reduction in stress hormones including cortisol and norepinephrine.

 
また、さらに次のようにも書かれています。

Acupuncture “has also been associated with modulation of melatonin and gamma-aminobutyric acid (GABA), both of which are associated with sleep onset and maintenance.” Additionally, acupuncture may influence factors such as pain, hot flashes, and anxiety that could contribute to insomnia.

要点は次のような内容です。

「鍼治療はメラトニンとガンマアミノ酪酸(GABA)の調節にも関連していて、どちらも睡眠の開始と維持に関連している。

そして鍼治療は、不眠症の一因となる可能性のある痛み、ほてり、不安などの要因に影響を与える可能性がある。」

 
このことは、鍼灸治療が、自律神経や脳に影響し、体内の調節機能を助けている可能性があるということですね。

不眠症と鍼灸については当サイトでもいくつかご紹介してきました。そちらもあわせてご参照ください。

 ⇒ 不眠症のために鍼灸を試みる理由 - アメリカ

 ⇒ 不眠症に有効な認知行動療法と鍼の併用 - アメリカ

 ⇒ 不眠、不安、便秘なら鍼灸 - オーストラリア

 
鍼灸のさまざまな可能性はいろいろな分野で期待されるものの、使用される経穴や治療頻度の問題など、臨床試験で良い結果を残すには課題が多くあります。

しかしながら、研究が進み臨床試験が繰り返されることで、鍼灸治療の効果が徐々に明らかになり、不眠症の標準治療として鍼灸が選択される日が来るかもしれませんね。

 
今回の記事の詳細については、「OncologyNurseAdvisor」のサイトをご参照ください。

◆OncologyNurseAdvisor – Insomnia Relief in Cancer Patients
https://www.oncologynurseadvisor.com/home/hot-topics/side-effect-management/acupuncture-moxibustin-insomnia-relief-cancer-patients-treatment-risk/2/

 
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