鍼灸治療の普及と臨床試験 – イギリス

2016.10.22 Nouse(ニース)
イギリスのヨーク大学では、保健学科のヒュー・マクファーソン博士に称号を与え、同国で初めて鍼灸治療学の教授を任命する大学になったことを、学生が運営するニュースサイト「ニース」で報じました。

近年、イギリスでは鍼灸治療が普及してきましたが、最近では体重の減量からアレルギー、禁煙まであらゆることに役立つと言われるようになっています。

近年の鍼の臨床試験では、偽鍼(ぎしん、ニセ鍼)の使用とマウスなどの動物実験という2つの方法が採用されています。

ニセ鍼というのは、実際には鍼治療をしていないのに、患者は鍼治療をしていると信じて受ける治療のことで、プラセボ効果の有無が明らかになります。

 
このような方法で鍼治療の有効性を調べる臨床試験について述べている部分を以下に引用します。

There have also been several large data reviews, such as that by White et al in 2002 who looked at 22 different studies of the effectiveness of acupuncture on smoking cessation and concluded it did not help smokers trying to quit.
However in 2010 a group from the University of Rochester Medical Centre in New York induced pain in adult mice and then inserted (and rotated, ouch!) needles just below the mouse’s knee every five minutes for half an hour. These mice appeared to show a reduction in discomfort by 60%.

要点は以下のようになります。

◆2002年の検証では、禁煙を希望する喫煙者に鍼治療しても効果はないという結論になった

◆しかし、2010年アメリカのロチェスター大学医療センターでのマウスを使った臨床試験では、鍼治療で痛みなどを60%減らせるという結果が得られた

さらに、この記事では、ヒトの場合はプラセボ効果が強く、説明が難しいとも述べています。

 
当サイトでは、喫煙などによりCOPDを煩った患者に対して鍼灸治療が効果的というトピックをニュースレターで取り上げました。こちらも是非ご参照ください。

 ⇒ 鍼灸(しんきゅう)ニュースレター No.11 - COPDと鍼灸

臨床試験がしにくいと言われている鍼灸治療の分野ですが、少しずつデータが蓄積されていくといいですね。

鍼灸治療の素晴らしさを国民の皆様がもっと実感していただけると、病気の予防や健康管理、慢性病の改善などに鍼灸がより活用されていくことでしょう。

 
今回の記事の詳細については、ニースのサイトをご参照ください。

◆Nouse – Acupuncture: what’s the point?
http://www.nouse.co.uk/2016/10/22/acupuncture-whats-the-point/

 
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