「鍼」と「針」の違いはあるのでしょうか。その違いについて、一部をご紹介します。
いわゆる鍼灸治療は、「はり・きゅう」治療のことであり、「鍼灸」と表記して「はりきゅう」とも読みますが一般的には「しんきゅう」と読みます。
なぜ「針」ではなく「鍼」という字を使うのでしょうか。
大雑把には両者とも同じ意味で、どちらも「はり」を表します。
同じ意味で同じ音なのに二つあるのはとても不思議ですね。
現在の日本では治療用の「はり」は「鍼」という字に統一されています。
日本鍼灸師会や全日本鍼灸マッサージ師会でも公式文書上、「鍼」で統一されています。
ですので日本での「はりきゅう」治療では、「鍼灸治療」ということで統一されています。
「鍼」と書いた時には、治療の「はり」を指すんですね。
「針」と書いた場合はその他の、縫い針や注射針などの針を表すことになります。
一方で、中国では「針」という字で統一されています。
(実際には簡体字を使っていますが)
中国では「針灸」という表記をするんですね。
これまた不思議です。
日本の鍼灸師や鍼灸学生にとってみると、治療で使う「はり」は「鍼」ですし、
直径0.2ミリ前後の非常に細いものと理解しているので、
「鍼」という漢字は暗黙的に「細いもの」「やさしいもの」、という印象があります。
そして、「針」という漢字は、「縫い針」などのハリを想像するので
「太いもの」「痛そうなもの」というイメージなんですね。
一般の国民、特に鍼灸治療をしたことのない人にとってみれば
「鍼」でも「針」でも「ハリ」には変わりはなく、
「痛そうなもの」という印象があるのでしょうね。