「日本型統合医療と鍼灸治療」について

日本型統合医療と鍼灸治療

 統合医療とは、西洋医学(病院やクリニックで医療保険を使って受ける治療)と西洋医学以外の治療を組み合わせて行う医療であると一般に捉えられていますが、日本では医療保険適応の治療と適応外の治療を同時にすることを「混合診療」と呼び原則禁止しています。

 混合診療の解禁には様々な問題があります。例えば医療の質が不均一となったり、既存の医療行為が保険適応から外される危惧などがあげられます。統合医療は海外では日本より広く認知され利用されてきていますが、日本では混合診療禁止の原則があるため制度としてなかなかうまく広まりません。

 しかし、多くの患者さんは実際に保険適応外の治療を利用しています。鍼灸マッサージや、アロマセラピーやヨーガなどのリラクゼーション、サプリメントなどの健康食品。これらの治療は西洋医学との連携がないまま普及しています。そのため、時に有害事象が発生しても看過されたり、西洋医学的治療の機会を奪取されたりすることがあります。

 統合医療は保険制度的に「混合診療」ではなく、しかし医師と西洋医学以外の医療との連携をもたらすものです。日本では保険制度や文化的背景など諸外国とは多くが異なり、海外で発展している統合医療をそのまま真似して導入するのは現実的ではありません。日本には国家資格保有者としての「鍼灸師」がおり全国で施術にあたっています。日本型統合医療の原型としてまず医療機関ー鍼灸師の連携が統合医療の発展の切り口となるでしょう。

 今日では、医療機関と鍼灸院の連携はまだまだ希薄ですが、統合医療支援システムという仕組みが近い将来登場する予定です。これにより、お近くの鍼灸院と地域の開業医が連携して、わずかな身体の不調から機関病院での集中治療まで途切れることのないシームレスな医療で、皆さんの健康を支えるサービスを提供することができるようになります。

日本統合医療支援センター 代表理事 織田聡

 

 
医療機関との連携がスムーズに進むように、鍼灸師は今後も勉強会や研修会などを通して技術向上に努めています。世界に通用する「繊細で痛くない、心地よい日本型鍼灸」を是非ご利用ください。

一般社団法人 日本統合医療支援センター