東洋療法学校協会第38回教員研修会レポート

鎌田實先生が東洋療法学校協会第38回教員研修会で講演

(東洋療法学校協会会員校 湘南医療福祉専門学校教員 森岡裕貴)

 平成26年8月6日(水)・7日(木)に、長野駅からほど近いメルパルク長野にて公益社団法人東洋療法学校協会 第38回教員研修会が開催されました。
 研修1日目には、信州大学学術研究院教授・教育学系教授の伏木久始先生が「学ぶことと教えること」のタイトルで1つ目の講演を行いました。2つ目の講演は医師・作家である鎌田實先生が「『がんばらない』けど『あきらめない』~命を支えるということ~」のテーマで登壇されました。

 伏木先生の講演では、学習者に学習動機を持たせるため、目的の知識・技術の必要性・有用性を発見し、行動に移させるように援助するのが「教えること」であると説かれました。学習者のレディネス(※)や意識を教師 が理解していることが「教えること」の前提にあるのです。今後、専門学校に入学してくる学生層の変化に対応するため、学ぶ側の倫理に立ち、学習者のレディネスの「客観的理解」、学習者一人ひとりの「特性の理解」、教員としての自分が学生にどう映っているかという「自己理解」をすることが重要であると指摘されました。

 伏木先生は「学生から教えられることを学びとれることが教員であることの誇り」「学び続ける姿勢を体現する教員を目指して、自己研鑚を行うことが教える側に必要とされる」とし、教員としての継続的な課題として 「自己満足で授業をするのではなく相手の理解度や理解力を認識すること」を挙げました。

※レディネス:何かを習得・学習する際、それに必要な条件や環境が学習者側に整っている状態。

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映像やイラストで「視覚の錯覚」を示す伏木久始先生。見ているようで一部しか見えていない?

 鎌田先生の講演では、ご自身が諏訪中央病院に赴任された当時のことが紹介されました。鎌田先生は患者さんや地域の方々との信頼関係を築くため、また、患者さんや地域の方々を理解するための行動をされたそうです。地域の方々の健康を考え、「減塩」「野菜の摂取量を増やす」「歩け歩け」などをスローガンに、生活習慣を改善してもらったとのことです。長野県民が長寿なのはこのような生活習慣の改善と、高齢者の就業率が高くて生きがいを持ち続けていることなどが背景にあるようです。

 鎌田先生の講演のなかで印象的だったのは、「人を思って行動することが健康につながる。自分自身が誰かのために行動することが『やる気』につながり、自身も健康でなければいけないという意識につながる」という言 葉です。「人は変わりにくいけれど変わることができる動物(心を持った動物)であり、人は弱い動物だから仲間が必要。人は99%勝手な生き物。ただ1%は人のために生きよう」と鎌田先生は語られました。気持ちを持っ て人と接すれば、大体の人は理解し人を受け入れてくれるはず。受け入れてくれたら自分も相手の身になって行動し接すれば、変わっていくことができるのが人という動物だ、ということです。そして「力を合わせて集団で 様々なことに取り組んでいけば、困難なことを乗り越えていける力がついてくるはず」と強調されました。

 とはいえ、鎌田先生は「他人のために生きるといっても、それは1%でいい。1%だけ誰かのため、他人のために生きてみるのです。一生懸命、他人のために生きようとするとどこかで無理が生じて、結局、長続きしない 」と念を押されました。1%でいいと思うから、無理なく自然に続けることができるわけです。

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鎌田實先生の特別講演は事前申込があれば市民公開講座として一般も聴講することができた

 2つの講演を聞き、東洋医学に従事する人間として、また教員として、患者さんや学生のために相手のことを考え理解するのが自分の治療法や教授法の発展につながり、相手のためになるのだということに改めて気づかさ れました。

 2日目は、研修会の参加者である東洋療法学校協会会員校の教員が、グループごとに成績不良者への対策、対応等について意見交換を行いました。
 成績不良者の対策としては、実習室の設置、個人面談、小テスト、参考書や参考文献の紹介、教授法の研究、補習や補講、授業以外の声掛けなどを実施している学校が多く、意見交換のなかではそれらの具体例が挙げられ ました。今後も、学生にとってより良い方法を取り入れ、学生の学力向上および教員のスキルアップを行っていくという内容のワークショップでした。


 


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