広がる可能性

広がる鍼灸の可能性

 2000 年以上の歴史を持つ鍼灸治療はその時代に応じて様々な疾患治療に効果をあげてきましたが、最近は新たな分野への可能性に業界の内外から大きな関心が寄せられています。

1)スポーツ鍼灸

sports_subcolumn_image07 スポーツ鍼灸とは、スポーツ傷害の治療やコンディショニングなどを目的とした鍼灸療法をいいます。現在、スポーツトレーナーといえば、プロ・アマチュアを問わず、様々なスポーツ現場でアスリートを支える重要な立役者として広く知られていますが、その多くが鍼灸師の免許を有する人たちです。社会の変化とともに未病の考え方が広まるなか、健康づくりのための運動習慣が重要視されています。今やスポーツ鍼灸は、アスリートの世界だけでなく子どもからお年寄りまで、幅広い年代の人たちの健康スポーツや介護予防の領域においても、大切な役割を担っているのです。

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2)メタボリック・シンドローム

 記憶の片隅に残っていませんか? 「耳ツボ・ダイエット」のこと。ワーッと盛り上がり消えていった、ある種ブームのひとつであったことは確か。あの「耳ツボ・ダイエット」って何だったのか。あの当時はまだ医学的な検証も少なく、特に西洋医学の世界では認められていなかったのは事実ですが、やせているのにもっとやせたいという、自然の摂理に逆らう女性たちの願望を瞬時に満たすダイエット法ではなかったようです。でも、本当に肥満の人や、最近話題のメタボリック症候群対策として、鍼が有用であるということが、マウス実験や人での検証で明らかになってきました。

3)アレルギー性疾患

 世界中で都市化が進み、ストレス、アレルギー、慢性疲労など、先進国特有の身体のトラブルや生活習慣病が増加しています。薬物投与や外科治療で対処してきた西洋医学だけでは治せない、病気ではないけれど「なんとなく不調」、あるいは原因が分からない症状に悩まされている人々が、子どもから高齢者まで、幅広い年齢層で増加しています。
最近では、鍼灸がアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息などの疾患に有効との報告が増えつつあり、そのメカニズムを解明する研究が進められています。

4)「美容鍼灸」・「婦人科系疾患」

 “きれいになるためには全身の凝りやバランスを直す”という考え方を中心に、ダイエットやしみ、シワなどの改善にも鍼灸を利用する人が増えていると聞きます。また、美容や健康、特に女性の月経不順の改善をめざす冷えの改善に、鍼灸は有効だということです。

5)動物と鍼灸

 今や家族の一員として重要な存在となっているペットの治療に、マッサージとともに鍼灸にも関心が寄せられています。米国や英国を始めとする世界の様々なメディアで、獣医の分野で鍼治療をペットの代替医療として積極的に取り入れる動きが広まっていることが紹介されています。人間に効果のある鍼治療をペットにも積極的に受けさせたいと考えているペットオーナーが増えているそうです。
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